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2018年3月

2018年3月30日 (金)

猫のトイレは固まるタイプの猫砂が良いです。

 猫、特にオス猫の尿路閉塞は悩ましい病気です。雌猫は滅多に尿路閉塞になりませんが、オス猫は不適切な飼い方をしたらかなりの確率でなります。

原因として

①不適切な食事を与えた結果(かつお節や煮干しなど)マグネシウム結石ができて尿路閉塞が起きる。ただし最近は知識の普及でこのタイプの尿路閉塞は減少している印象があります。

 もう一つは

②ストレス

です。最近は主にこっちが原因での尿路閉塞が多いような印象があります。

 ノミアレルギーなどで激しいかゆみの末や、トイレが不衛生で排尿に対して、ストレスを感じると尿路閉塞を起こします。

 ノミは駆除・予防する必要がありますが、見逃されがちなのが「トイレ」です。

 猫の頭数に対して、理想は猫1頭につきトイレ2個が良いです。お留守番中でも一方で排尿、一方で排便をしてくれるので猫もストレスを感じません。

そして、トイレを猫が使用したらすぐにきれいに尿や便を取り除いてあげると、常にトイレが綺麗なので猫も満足です。

 これは営業妨害になるかもですが、当院では「1週間シートを変えなくてもよい猫トイレ」は一切勧めておりません。過去の尿路閉塞を起こした猫の問診でかなりの確率でこのタイプのトイレの使用歴があり、

「1週間シートを変えなくても臭いがしない」というのは眉唾だと思っています。

猫は人よりも嗅覚が優れているので、「人はにおいを感じなく」ても猫からしたら「臭いなあ」と思っていると思います。

 また、便は毎日とっていても、排尿量や回数の把握が乾いたらよくわからないと思うので尿路閉塞を見逃して手遅れになりがちです。

 人間で「大きい方は流すけど小は1週間貯めるよ!」という人がいたら「大丈夫かな、この人」と思いますよね。

 毎日2回くらい猫のトイレ掃除するのそんなに嫌ですかね?健康チェックにもなるんでぜひやってください!

 個人的には犬の「伸びるリード」と並んで「1週間シートを変えなくていい猫トイレ」は「いらない商品」の同格なんですが、直接死因とか病因につながってないので販売はそのまま継続するでしょう。飼い主さんが知識を持つしかないのが悩ましいところです。

2018年3月28日 (水)

無菌的操作

 今回はちょっと専門的なお話しです。

 獣医師は手術を行いますが、その際は必ず「無菌操作」を行います。

手術器具はもちろん、使うガウンや手袋は滅菌されたディスポのものを用います。使う糸もディスポの合成吸収糸がメインです。

手術する部分も消毒薬で消毒しますが、ここからが実は結構悩みどころなのです。

なぜかというと生き物の体は消毒薬で完全に滅菌されるわけではないからです。

(毛穴の中まで消毒薬が入るとは考えにくいし、消毒薬の効果は40分くらいでなくなるといわれいます)。

 1時間を超える手術の際は再滅菌をしたほうがいいとも言われていますが、現実にはむつかしいかと思います。

 ただ、「だから滅菌や無菌操作があいまいでいい」というわけではありません。

 出来うる限りの無菌操作を行うことで、術後感染などを減らせますし、何よりも「自分はこの手術に際し、完璧な準備をした」という自信が心身の迷いを取り、手術を成功に導くのです。

 では、口腔内の処置(歯石除去や抜歯など)はどうでしょうか。口腔内は口内細菌が常在し、消毒薬をかけても意味がありません。では、「無菌操作」が必要ないかといえば「否」です。

 口腔内であっても使う器具はかならず「滅菌」する必要があります。他の動物の菌が付着していたまま用いると細菌感染を起こす可能性があるからです。

 歯科医師の方がどうしているかといえば、必ず患者さんごとに新しい滅菌済みの器具を用いて処置しているのです。

 獣医師の口腔内の処置も同様の準備をしなくてはいけません。

 ちなみに手術する部分の皮膚を消毒する際にヨード液という茶色の液を散布しますが、一定時間乾燥させることで消毒効果が高まりますのでじゃぶじゃぶかけては意味がありません。もったいないですし。

 さらにヨード液を掛けた後にアルコールを散布すると茶色から透明になるのですが、ヨード液が中和されてしまっていますので殺菌効果がなくなるのでやってはいけません。

2018年3月24日 (土)

フィラリア陽性から陰性に②

 昨日、またフィラリア陽性から陰性に転じたワンちゃんが出ました。

 経過を見ると実質3年弱で陰性に転じています。1年前の検査で検査キットの陽性ラインの色の出方が薄いかなと感じてはいました。ただ定量的な検査ではなく、定性的な検査なので色が薄い=フィラリアの数が減ったとは言えないのですが、経験上、陽性ラインの色が薄くなって臨床症状が消えた場合は、次の年には陽性反応が消えることが多いです。

 一時期は心臓の薬も飲んでいたのですが、最近は飲まなくても元気になっていたのでひょっとして、と思っていたのですがとても良い結果が出てよかったです。

 フィラリアの検査を毎年しておくと、臨床症状が顕在化する前に対策が取れます。

毎年の検査の重要性を感じます。

2018年3月19日 (月)

フィラリア陽性から陰性に。

 4年ほど前に成犬で初診でフィラリア陽性だった犬がいたんですが、今春検査をしたら陰性に転じていました。

 初年度と2年目はまだミクロフィラリア(フィラリアの幼虫)までいたのでそれなりに数が感染していたのだと思います。また心雑音がありました。

 フィラリアに感染していても心雑音が聴診されることは少なく、仮にフィラリアが陰性に転じても基礎疾患として心疾患はあるのかなと思っていたのですが、先月聴診したら確実にあった心雑音がない。ほぼ正常な心音でした。

 あれ、ひょっとしたらフィラリア陰性に転じたか?と今月全血と血しょうで検査してともに陰性。

 いつから感染していたのか成犬なのでわからないのですが、少なくとも4年強で陰性に転じたことはよいことです。

 フィラリアの成虫の寿命は5-7年だそうですが、ある種のフィラリア予防薬で通年予防をすると早く寿命に導けます。

 毎年、フィラリア検査をしておくと、早期にフィラリア感染が発見できますのでその時点からきちんと予防をスタートすれば症状はほぼ顕在化しません。

 まれに投薬し忘れや、投薬期間が開きすぎたりして感染してしまうケースがありますのでそれを検出するために毎年の検査が大事です。

2018年3月17日 (土)

3月18日(日)は午後休診となります。

 3月18日()は獣医師会の会合に出席のため

午後休診となります。

 ご迷惑をおかけしますがご了解願います。

午後7時過ぎには病院に戻ってまいりますので緊急の方は留守電等にメッセージを入れておいていただけると対応できる場合もあります。

2018年3月 8日 (木)

成犬の橈尺骨遠位端骨折

 今、骨折しやすい犬のツートップのどちらかです。約1歳。体重約4㌔。

Maeasi1

 橈尺骨の遠位端骨折です。この像ではわかりにくいのですが尺骨も遠位端で骨折してます。成長板が見えないことから骨格的には既に成長は止まっている成犬です。

 さらに手根関節の亜脱臼も起きているっぽいです。

 斜め骨折ですので教科書的には「変位がしやすく、かつ手首付近であるので固定に苦慮するエリアである」ということになるかと思います。要は居合刀で竹を斜めに切ったときにズルリと滑って落ちる描写が時代劇なんかにありますが、そういうイメージですかね。実際斜めにずれてますし。

 なおかつ手首付近なのでプレート固定などがしにくい。するとしたらT字型プレートなどを用いることになるのでしょう。

 さらに「幼獣は骨の成長期なので仮骨増生が著しいが、成獣は骨の成長が止まっているので幼獣に比べ骨の癒合がしにくい」とどこかの教科書に書いてあった記憶があります。

で、3週間後

Maeasi2

実質10日くらいで歩行しており、3週間後位は普通に散歩にも行けていたので治療終了。

レントゲン像では、若干骨折線が認められますが、歩行できるのなら治癒したと判断してよいと思います。手根関節の脱臼はちょっと残ってるような気もしますが、

さらに受傷後約2か月後

Maeasi3

 斜めにずれていた部分に骨が増生し、ほぼ正常な橈骨の形になっています。尺骨の手首付近の骨折も完全に治っています。さらに手根関節部のずれもほぼ目立たないです。

 治療のポイントは

・適度な固定(ガチガチじゃなくてよい)

・適度な運動(ケージレストなんか無理なので動きたければどうぞ。犬も馬鹿じゃないので患肢が着地できるまで着地はしません)

・栄養をきちんと取る(筋肉を育てる。蛋白質を多くとることで筋肉と骨も治る)

ということでしょうか。

当院のフィラリア予防薬について

 当院では開院当初からフィラリアだけでなく、ノミまで予防できるオールインワンタイプのフィラリア予防薬をお勧めしてきました。

 フィラリアだけでなく、ノミやマダニの害も無視できないものだからです。近年、

SFTSウィルスによる重症熱性血小板減少症が問題になっています。これは当初はマダニによる人の感染症という認識でしたが、2017年に犬と猫で相次いで日本で感染発症が確認されました。

 開院当初から、飼い主さんの投薬の負担軽減を考えてオールインワンタイプを選択してきた経緯があります。

『当院のフィラリア予防薬』

1.塗り薬タイプ

 ①レボリューション:開院当初から導入していた薬。1剤でフィラリアだけでなく、ノミ、ミミダニ、効能外ですが疥癬ダニにも有効。フィラリア感染犬でも比較的安全に用いることができる。薬の信頼性もあり、個人的にファンの薬です。

 ②アドボケート:2年程前から発売。フィラリアとノミ、効能外ですが疥癬ダニやミミダニ、ニキビダニにも有効。海外では以前から発売しており、ニキビダニ治療薬としても唯一認可されていたので、使用したかったが日本のメーカーに質問しても発売未定のままだった。忘れたころに発売。遅いよ!早めに出ていれば塗り薬タイプのフィラリア予防薬の主力になったのに。レボリューションより若干安価です。

2.内服タイプ

ネクスガードスペクトラ:牛肉風味のチュアブルタイプでフィラリアと一部内部寄生虫、ノミ・マダニまで予防できる。九州にはマダニは普通にいるので現在はこちらが中心になりつつあります。チュアブルタイプで単体で与えることができるので食欲がある子なら問題なく投薬できる。気が荒くて塗り薬タイプが無理な犬や、シャンプーをよくする犬におすすめ。

(2018.4.1追記:ノミ・マダニを駆除できる成分がニキビダニやミミダニ、疥癬ダニにも効果があるという情報があります)

パノラミス:ネクスガードスペクトラより数年早く発売。フィラリアだけでなくノミ・マダニまで予防ができる内服のオールインワンのはしり。

 便利だが錠剤タイプで必ず少量のフードと一緒に与える必要があり、実際には缶詰などと与える方が多い。ネクスガードスペクトラよりも若干安価だが、与える際の缶詰の値段を考えると単体で与えることができるネクスガードスペクトラのメリットがあり、若干利用者は減少傾向。まれですが1時間以内に嘔吐した場合は再投与が必要。錠剤が若干薬くさいので飼い主さんが敬遠する傾向がある。

 基本はこの上記4剤で対応しています。

ノミやマダニは軽視しがちですが、フィラリアと合わせて予防しておいた方が良いですよ。

 

フィラリアの検査は早めにしておくと便利かもしれません。

 犬のフィラリア予防そのものは4月末からで大丈夫ですが、4月になると各種予防で院内が混みあいますので、3月中に検査を済ませておくと、あとはお薬だけを取りに来られるだけでよいので飼い主さんも犬も便利かもしれません。お勧めです。

2018年3月 7日 (水)

若齢の小型犬の橈尺骨骨折

 犬の橈尺骨骨折のツートップのどちらかです。生後約4ヵ月。体重は2㌔にも満たない体格。通称「茶碗ちゃん」と呼ばれるタイプで、それで犬種はお察しください。

Zensi1

 レントゲン撮影の条件にもよるかと思うのですが、骨が薄いです。聞けばショップから「一日2回の食事でよい」と言われていたとか。骨の幅は4㎜くらいでしょうか。

 すぐに「食欲があるなら1日3-4食食べていいですよ」とお願いしました。

で、3週間後

Zensi2

 しっかり治ってますね。10日くらいで患肢で同居犬をポカポカ殴っていたという。

 3週間で治療終了。

レントゲン像でも骨がしっかり濃く写り、骨もぶっとくなっています。撮影条件はほぼ一緒です。

これだけ太く治れば再骨折しようがないですね。

 簡単な装具で治るので、犬は手術しなくていいので痛い思いをしなくてよい。

費用的にもお優しい。30分-1時間位で無麻酔で出来上がります。

 しかも早く治る。

「早い、安い、優しい」治療ですね。

2018年3月 5日 (月)

小型犬の骨折は治りにくい?

 「小型犬が骨折しやすい」というのはまあ、納得します。

バットよりも割りばしのほうが簡単に折れますからね。

しかし「小型犬の骨折は治りにくい」というのは

「すみません、何言ってるのかよくわからないです」(サンドウィッチマン風に)というのが最近の実感です。

・四肢の筋肉が薄いので骨を回復させるための血流が不十分

・トイ系の犬は活動性が高いので、骨折部位が安定化しない。

という意見もありますが、自分の体重を支えるのに必要な筋肉があれば十分なのではないかと思います。

 また活動性が高い大型犬だっているわけです。

 開放性骨折でなければ鳥の骨折も結構治ります。小鳥でも同様です。鳥なんて空飛びますから活動性が高いなんてもんじゃないし。

「鳥と犬や猫は違うんだよ!」

と言われる方もいるかもしれませんが、鳥の骨なんてそれこそスカスカですからね。空を飛ぶために。

小型犬よりも細いですが、結構治ります。

 「大型犬は体重があり、体力があるので骨が安定化せず癒合不全を起こしやすい」という意見もいえると思います。じゃあ中型犬が一番治りやすいの?という感じですが、そういうわけでもないと思います。みんな治癒率は同じくらいなんじゃないでしょうか。

  また治療法によって治癒率は変わってくると思います。「手術後の治癒率」「保存療法での治癒率」では条件が違うので、比較対象になりません。

 その辺の論文がちょっと見当たらないんですが、思考実験として、「小型犬の骨折は治りにくい」というのは疑ってみてもよいと思います。