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2017年1月21日 (土)

猫の骨折

 獣医師になるはるか前に読んだ、イギリスの獣医師の自伝的小説の中に「猫はけがを治す天才」という記述がありました。その本は度重なる引っ越しで散逸してしまい、タイトルも定かではありませんが、その一文は長らく記憶にとどまっていました。

 猫は犬に比べて運動能力が高く、高いところにするする登りますが、さすがに2階以上の高さから落下すると骨折することはあります。また交通事故などでも骨折するでしょう。猫が骨折するほどの怪我を負ったときはかなりの衝撃が体に加わったと考えられ、内臓損傷も疑わないといけません。

 一般的には1歳以上の犬猫は骨折した場合はギプス固定は不適で、何らかの整形外科的な治療が必要になるといわれています。

 10歳の女の子の猫で、屋内で左大腿骨の粉砕骨折の例です。大腿骨や上腕骨はギプス装着が困難であり、整形外科的な整復が必要というのが一般論です。股関節や膝関節の脱臼がないのは幸いでした。排便排尿もできて内臓損傷もなかったようです。

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(画面で見ると画像が横に伸びており、変位が強調されていますがクリックすると

実際の比率に近い画像が見れます)

粉砕骨折であり、整形外科的に整復するとなると複数の工程が必要になります。

 しかし、ここまで細かく骨が粉砕していると実はかえって「リモデルディング」が効率的に行われるのでは?と思いましたので、「温存」を選択しました。骨片一つ一つは明後日の方向を向いていますが、全体としてみると極端な変異がなかったのでこのまま仮骨が形成されて治るのでは、と予測しました。

※「リモデルディング」:骨折した骨片が元の骨の形に時間をかけて戻っていく現象。

ギプスすらせず、そのまま生活をさせていました。受傷後2週間でかなり着地できるようになりました。

で、約二カ月半後の最後のレントゲンです。

Nekokossetuenddv_3

Nekokossetuendlate_3 仮骨が十分に形成され、ほぼ生活に支障がないようです。受傷後約3週間でキャットタワーを階段代わりにタンスまで登っており、受傷後40日で仮骨形成を確認しているので実際には二カ月弱で生物学的整復は終わっていたのではないかと推測します。

 左大腿骨は約10-15%レントゲン像から見て右大腿骨よりも短くなっていますが実際の姿勢を見てもその差は感じません。生活に支障がなければよいのではないかと思います。

 「猫はけがを治す天才」ということを実感した出来事でした。その言葉が記されたあの本のタイトルは何だったのか、それが気がかりです。

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